2025年問題が看護師に与える影響について

医療現場では、慢性的な看護師不足が問題となっていますが、一方で2025年問題により看護師が14万人も余るという試算が話題になっています。看護師が足りない現状において、2025年になると看護師の数が14万人も過剰になるのは想定しにくいでしょう。

実は、2025年とは、団塊の世代が後期高齢者となり、超高齢化社会が到来すると言われている年です。人数が多い団塊の世代が後期高齢者になると、医療費や社会保障費が激増するでしょう。これに対応するため、診療報酬が改定され、在宅医療を増やし、急性期病床を削減することで、計算上看護師が余るとされているのです。

急性期病床は、看護師1人に対して患者7人という体制が採られてきましたが、やや手厚すぎると指摘されていました。看護師1人に対して患者15人という現場も少なくなかったのです。つまり、2025年に看護師が余るのは、急性期病床の現場に限られ、その他の医療機関は含まれていません。医療費節減を目的とする効率化を求める国の政策により、病床数の削減が進められているので、介護施設や訪問看護の看護師の数は、相変わらず不足すると言って良いでしょう。

2025年問題に関する看護師数の試算については、全体として看護師不足が続くことに変わりはないという見解が主流となっています。ただし、現場で働く看護師の総数が減っているわけではありません。増加率は低下しているものの、総数は増えつつあります。問題はその配置に偏りがあることで、適切な分配が実施されたら、看護師不足の深刻化に歯止めをかけることができるでしょう。